今回は帰化した在日韓国人が亡くなった際の、相続手続きに必要な生まれから亡くなるまでの戸籍は具体的にどうゆう風になるのか、帰化人ですから、韓国の戸籍類と日本の戸籍が両方必要になりますが、具体的なケースを用いてお話ししたいと思います。
韓国人にしろ日本人にしろ、相続手続きの際には、亡くなった方の生まれから亡くなるまでの連続した戸籍類が必要になります。
これはなぜかというと、相続する権利がある人がどのように存在するのか明らかにするためですね。
銀行預金の相続にしろ、土地建物の相続にしろ、相続するには、亡くなった方の生まれから亡くなるまでの連続した戸籍類を求められます。
亡くなった方が帰化人だと帰化する前の韓国戸籍と帰化してから亡くなるまでの日本の戸籍が必要となります。
それでは実際にそれがどのようになるかを具体的に見ていきましょう。
では次のようなケースで見て行きます。
帰化した元在日韓国人の男性で、1947年生まれで、1990年に帰化をし2022年に亡くなったというケースです。この亡くなった方をAさんとします。
まず、帰化したのが1990年ですから、まだ韓国においては戸籍法があった時代、家族関係登録法に変わる前のことですね。
戸籍法があった頃の韓国の戸籍謄本は現在「除籍謄本」と名前を変えて存在しています。
生まれからということで、一番古いところを当たっていったら、1950年に作られた、お祖父さんが戸主の除籍謄本がありました。
その除籍謄本は1980年にお父さんが戸主相続することによって抹消されています。
で、そこに今回亡くなったAさんが載っているのですが、出生申告の時期が1973年になっています。
結構これくらいの時期に初めて韓国の戸籍に出生申告をしたという在日の方が多いですね。むしろ、出生直後に申告する人の方が圧倒的少数です。
1950年に作られた除籍謄本ですから、亡くなった方が5歳の時のものということになります。
出生までもうちょっと遡らないといけないのではと思うのですが、5歳では結婚したり子供をもうけることはできませんので、1973年に初めて出生申告がされたといえども、この除籍謄本が最初のものということで良いかと思います。
はい、次は1980年に戸主相続によってできたお父さんが戸主の除籍謄本ですね。Aさんもお父さんについてこの除籍謄本に入ってきてますので、お祖父さんが戸主の除籍謄本に続くものが、このお父さんが戸主の除籍謄本とうことになります。
次に1987年にAさんは同じ在日の女性と婚姻申告をします。そして婚姻による分家によって、Aさんはお父さんが戸主の除籍謄本から抜け出て、Aさんが戸主の除籍謄本が作られます。
そして1990年に帰化をして数年のちに国籍喪失によりAさんは除籍されていますので、これで終わりということになります。
ではおさらいをします。
1950年に作られたお祖父さんが戸主の除籍謄本にAさんの出生が記録され、1980年にお父さんが戸主相続をしてそちらの除籍謄本にAさんも移ります。
そして1987年に婚姻による分家をして帰化に至るということになります。
ですから韓国の除籍謄本は3通ということになります。
1通ごとにページ数はさまざまですが、どんな感じがあり得るかというと、一番古い縦書きの手書きのものが15ページ、次の横書き手書きのものが11ページ、最後のものが6ページという感じが普通にあり得る感じになります。
日本語への翻訳の料金は、これもありそうなパターンで行きますと、一番古い縦書きのものが1ページあたり4500円、次に古い横書きが1ページあたり3500円、最後のコンピュータ化されたものが1ページあたり3000円としますと、合計で124000円(税抜)ということになります。
これでも安い方ですね。もっと単価高い業者さんも普通にいますので。
はい、ちょっとお金の話にそれましたが、次は帰化してから亡くなるまでの日本の戸籍です。
1990年に帰化ですので、夫婦とお子さん方の家族で帰化という感じかと思います。
家族みんなが載った戸籍がまずできます。そこには帰化した事実が載っています。
この後転籍をしました。そうすると最初の戸籍は除籍になってますので、除籍謄本と転籍後の戸籍が要ります。
また転籍後の戸籍は平成20年代の戸籍のコンピュータ化による改製によって閉じられて改製原戸籍というものになっています。
戸籍のコンピュータ化によって現在の戸籍ができて、その戸籍にAさんが死亡したことが載っているということになりまっす。
ですから日本の戸籍は、最初にできた除籍と、次の改製原戸籍、現在戸籍で合計3通になります。
はい、というわけで帰化した在日韓国人の方の出生から死亡までの戸籍類を見てきました。
聞いていただいたわかったと思うのですが、結構な分量になりますし、ゼロからこれを収集するのも大変なことは感じていただけると思います。また翻訳費用が結構します。