こんにちは!行政書士の川本です。
今回は帰化の許可の官報への告示の話です。
どうも帰化すると官報というものに載るらしいと。
氏名なんか晒されてプライバシーはないの?って話をしたいと思います。
では行ってみましょう!
目次
官報って何?
官報というのは政府が国民に知らせる事項を新聞のように編集して平日毎日発行しているものです。
インターネット版官報は直近30日分は誰でも見ることができます。
また過去のものでも有料版や対応する図書館で閲覧することもできます。
帰化の許可は官報への告示によって効力が発生します。
帰化の許可は官報への告示によって行われます。
官報にその日に法務大臣が帰化の許可をしたもののリストが載ります。
官報に載ったその日の0時から法律上は日本の国籍を取得したことになります。
氏名・生年月日・住所が掲載されます。
官報には帰化が許可された方の氏名・生年月日・住所が掲載されます。
氏名は従前の氏名、つまり帰化前の本国の氏名(本名)です。
帰化後の氏名は掲載されません。
そして住所は帰化が許可された時点での住民票に記載されている住所です。
通称名は載らないの?
現在は帰化する前に使用していた通称名は掲載されません。
かなり昔は、本名に加えてカッコ書きで使用したことのある通称名も掲載されていたようです。
そういえば、現在でも帰化許可申請書には「通称名」欄があって、フォーマットでは3つの通称名を記載できるようになっています。
私は、これは昔に通称名を官報へ掲載していた名残ではないかと思います。
今でも残っているのは調査にも必要だからということだと思います。
官報への掲載を拒むことはできる?
これはできません。
法律で決まっていますので。
国籍法第十条で「法務大臣は、帰化を許可したときは、官報にその旨を告示しなければならない。」と明記されています。
ですので無理ですね。
官報へはいつまで掲載されているの?
いつまでも掲載され続けます。
有料の「官報情報検索サービス」では昭和22年5月3日(憲法施行日)の官報から閲覧、キーワードを指定して検索することができます。
なので帰化した方の氏名・生年月日・住所で検索することもできてしまうわけです。
また対応する図書館では無料で上記閲覧・検索することができます。
対応する図書館では紙で発行された官報も保管しています。
明治時代からのものを保管している図書館もあります。
プライバシーへの配慮は?
在日韓国人朝鮮人同胞の皆さん中には、できれば帰化したことを秘匿したいという方も少なからずいらっしゃいます。
官報へ本名と言えども氏名や生年月日、住所が掲載されずっと残るというのは、プラバシー保護の観点からどうかと思う方もいらっしゃると思います。
ですが先ほど述べたとおり、法律で決まっていることですので、どうしよもないというのが現実です。
破産者マップ事件のようなことが起こらないか
2019年に破産者マップ事件ということがありました。
官報に掲載された破産者の情報をグーグルマップにマッピングしたサイトが現れ、炎上の末にサイトが閉鎖されたという事件です。
これと同様のことが起こらないかと私は個人的に心配しています。
破産者同様に帰化者も氏名・住所が掲載されていますので、やろうとすれば出来てしまいます。
官報掲載を気にされる方の対処法は
在日韓国人朝鮮人の方々は通称名を帰化後の日本人の氏名として帰化される方がほとんどです。本名で帰化する方は稀です。
官報へは氏名は本名しか掲載されませんので、帰化した方と官報に掲載されている人物を同一人と完全に特定することはできません。
ただ、下の名前は本名と同じにする方が多いので、下の名前と生年月日で同一人の特定性は高まります。
また住所も官報に掲載された住所にそのままお住まいの場合には、さらに特定性は高まるということになります。
前述のようなマップ事件が起これば嫌なことになるかもしれません。
そこで帰化のご意思があり今現在賃貸などの仮住まいの方は、家を購入したり、終の住まいと定める前に帰化した方がいいかもしれません。