今回は在日韓国人の相続講座ということで、相続に必要な韓国の家族関係証明書や除籍謄本はどんなものが必要なのか、その前提として韓国の家族関係証明書や除籍謄本とは何なのか?というお話をさせていただきます。
こんにちは、行政書士の川本です。私は在日韓国人の皆さんの帰化、相続、戸籍の取り寄せや翻訳の仕事を14年にわたってやって参りました。帰化の許可実績は今日時点で1,254人になりました。まさに全国対応でやっています。LINEで簡単に相談できますのでお気軽にコンタクトしてみてください。
では本題参ります。
相続や帰化の手続きの際に、韓国の家族関係証明書や除籍謄本が必要だと言われて、面くらう人も多いかと思います。日本で生まれ育って、本国の書類なんて馴染みがないのに、いきなりそう言われて戸惑うのも当然かと思います。
相続の時には、日本に帰化した人でも、亡くなった方、相続する人によらず、帰化した人も韓国の家族関係証明書や除籍謄本は必要になるので、なおさらのことかと思います。
では、韓国の家族関係証明書や除籍謄本とは一体何なのかを見ていきたいと思います。その上で家族関係証明書と除籍謄本、この2つを分けて見ていきます。
まずは家族関係証明書です。2008年1月1日に族関係登録法という法律が施行されました。それに基づいて、家族関係登録簿というデータベースができたわけです。
その家族関係登録簿から様ざまな情報をピックアップして、家族関係証明書類というものが発行されるわけです。
実はこの家族関係証明書は5種類あります。基本証明書、家族関係証明書、婚姻関係証明書、入養関係証明書、親養子入養関係証明書、と5種類があります。
この5種類は種類ごとに異なった情報が載っています。基本証明書は出生や死亡などの情報、家族関係証明書は父母と子供の情報、婚姻関係証明は婚姻と離婚などの情報、などのようにですね。
ここで翻って日本の戸籍を思い浮かべますと、日本の戸籍謄本には、出生からはじまって婚姻や離婚、子供、死亡まで、同じ戸籍謄本に載っています。それが韓国では、5種類の証明書で種類別に証明書が発行されるという仕組みになっています。
次は除籍謄本です。除籍謄本というのはですね、2008年1月1日に家族関係登録法ができたと同時に、それまであった戸籍法が廃止されたんですね。その戸籍法があった時に存在した戸籍謄本、これが全て2008年1月1日以降は除籍謄本となったわけです。
つまり2008年1月1日より前に存在した戸籍謄本が、そのまんま残っていて、名前を除籍謄本と変えて今も存在しているということです。
そして、この除籍謄本が2008年より前の身分変動事項を証明するものとして、今でも必要になるということなんですね。
ですから、例えばですね、1945年に生まれて、2020年に亡くなった方の生涯に渡る身分事項(出生、結婚、子供、死亡)を証明しようと思えば、生まれた時点から2008年1月1日までの除籍謄本と、2008年1月1日以降の5種類の家族関係証明書類が、全て必要になるというわけです。
ちなみに家族関係証明書というのは、5種類ともそれぞれペラっと1枚であることが多いです。記載事項が多いものは、2枚になることもままあります。
しかし一方除籍謄本はと言いますと、かなりの枚数になります。例えば先に例を挙げた1945年生まれの人ですが、10枚から5、60枚に渡る場合があります。
除籍謄本は人によって全然枚数が違います。それを事前に予測することはできません。だから翻訳費用は大体いくらかかりますか、と聞かれても、まあ実績があれば平均値をお知らせすることはできますが、実際にいくらかかるかは除籍謄本全部を取って見ないと全くわからないんですね。
また必要な全ての除籍謄本をいっぺんに取ることはほとんでできません。除籍謄本はそれぞれに戸主と本籍地という情報があって、それを指定しないと取れないので、全ての除籍謄本の戸主と本籍地を事前に知ることはできませんので、順番に取っていくしかないということで、全てのものを取り揃えるには何回かかかるということですね。
ですから家族関係証明書類に比べて、除籍謄本を揃えるのは段違いに面倒ということになります。
このように2008年を境に制度がガラッと変わって、書類の取り揃え方も違いますが、一連の流れのあるものですので、除籍謄本と家族関係証明書類はセットのものと考えてください。
帰化でも相続でも家族関係証明書類だけで足りるということはあり得ません。なぜなら家族関係証明書類は2008年以降の身分事項しか反映してないからです。帰化でも相続でも、生涯に渡る身分事項を明らかにしますので、除籍謄本も必ず要るということになります。