民族名での帰化が許されなかったと言われる時代に、あのソフトバンクの孫正義さんが初めて民族名での帰化をしたと言われています。
孫正義さんはどのように民族名での帰化を認めさせたのか…。
1051人を帰化の許可に導いた専門家が解説します。
目次
帰化後の氏名は自由に決められます。
自分の好きなように「氏(苗字)」と「名」を決められます。
使える字はひらがな・カタカナ・漢字(使える漢字に制限はあります。)。
昔は日本人風の氏名にするようにと言われていたそうです。
私は昔のことは知りませんが、聞いたところによるとそのようなことがあったようです。
実際に孫正義さんも帰化申請する際に、なんとか民族名(本名)を使えるように知恵を絞ったとのことですので、本当にそうゆう実態があったんでしょうね。
私はこの10年の間に1051人の方を帰化の許可に導きました。
1000回以上法務局に出向いて帰化の担当職員と相対してきましたが、一度も帰化後の氏名を日本人風の氏名にしろと言われたことはありません。
そうゆうことが言われ無くなってだいぶ経つのかなと思います。
なので、現在は本名である民族名、金〇〇、李〇〇、扑〇〇というような氏名を帰化後の日本人としての氏名とすることが可能です。
まずは、家庭裁判所で奥さんの「氏の変更」を申し立て許可を得て、戸籍上の氏を「孫」にしたそうです。
外国人の配偶者の氏への変更は6ヶ月を超えると家庭裁判所の許可が必要なので、その許可を得て氏の変更をされたようです。
家庭裁判所でのこのような氏の変更は一般的には普通に認められます。
(話はちょっとずれますが、この孫さんのケースでは夫の本名である「孫」に変えるパターンですが、在日の方の間では日本人妻の戸籍上の氏を在日の夫の通称名に変える氏の変更申立は、よくやられていますし普通に許可されています。)
日本人風の氏でないと帰化できないと言われたところ、すでに奥さんの戸籍上の氏が「孫」になっているので、その同じ「孫」を帰化後の氏として帰化することを認めさせたのではないかと予想します。
というのは、奥さんの戸籍上の氏がすでに「孫」となっているところ、奥さんが筆頭者の戸籍に夫である孫さんが帰化をして入籍することは簡単です。
簡単ですというか、日本人の妻の戸籍に入籍する(妻を筆頭者とする夫婦の戸籍を作る)形で帰化をすることは制度上できる仕組みになっているので、それをダメだという理屈はないんです。
ただし、夫が外国人で妻が日本人の場合に、夫が筆頭者である新戸籍を作ることがほとんど(生来の日本人同士の夫婦が夫を筆頭者とする戸籍にするように)なので、おそらく孫さんも夫が筆頭者の戸籍を作る形で帰化申請したと思います。
新戸籍の筆頭者の氏として本名を使うことに難色を示されたので、先に奥さんの氏を変更するなどして既成事実を作り認めさせたということだと思います。
私がお手伝いをして帰化が許可された1,051人のうち、韓国籍・朝鮮籍の方が98%の1,037人います。
その中で本名で帰化をした人はほぼゼロに近いのが実態です(林や柳など日本人の氏としても通用する本名で通称を使ってない方は除きます。)。
ずっと本名を使ってこられた方でさえ、帰化する際には日本風の氏をつけられるケースを見てきました。
この辺の微妙な気持ちは、在日として生きてきた人でないとわからないのかなと思います。