今回のお話は、帰化した人はどこかに「新日本人」と書かれるという噂について検証してみたいと思います。
昔から帰化した人はどこかに「新日本人」と書かれるという噂があります。お客さんにも何度かそういう質問をされたこともあります。
帰化した人は生来の日本人とは違って、国の許可によって日本人となるわけですから、概念的には「新日本人」という言葉が当てはまりますし、どこかでそう呼ばれても間違いではないということになりますね。
それでは何か公のものに本当に「新日本人」と書かれるかどうかを見ていきたいと思います。
帰化をして新たにできるものとして、我々が認知できるものは二つしかありません。
それは日本の戸籍と住民票です。住民票は帰化する前もあったよ、と言われかもしれませんが、帰化すると帰化する前の外国人としての住民票は除票となって、新たに日本人としての住民票ができます。
日本の戸籍は日本人であることを証明するものですので、帰化すると当然戸籍ができます。
戸籍には帰化した事実が記載されます。戸籍にはその戸籍が作られた原因が記載されるので、帰化して戸籍が作られた人は、その原因が帰化ですので、帰化の情報が記載されると、これは避けられないことですね。
具体的には、帰化日、届出日、従前の国籍、従前の氏名が記載されます。従前の国籍には在日の方は韓国または朝鮮と記載されます。従前の氏名は本名、金何がし、李何がしと記載されます。
昭和30年代か40年代に帰化された方の戸籍を見たことがありますが、戸籍の体裁は今と違って縦書きや手書きなんですけれども、帰化に関して書かれている内容は今と一緒です。
このように日本の戸籍には「新日本人」という言葉は出てきません。
次に日本人としての住民票に新日本人と書かれるのかどうかですが、これも書かれません。
帰化をして新にできる戸籍と住民票には過去から現在に至るまで、「新日本人」という文言が書かれることはないとゆうことになります。
日本人になれば、運転免許証やマイナンバーカードも変更が生じます。
運転免許証は裏面に「氏名・本籍変更 新氏名 何々」と記載されます。新氏名として帰化後の日本名が記載されます。
新氏名ってのが新日本に似てますが、新日本人とは書かれません。
マイナンバーカードも同様に帰化前に取得している人は本名が記載されていますが、帰化をすれば備考欄に氏名が変わったという旨が書かれます。ここでも新日本人とは書かれません。
ちなみに免許証もマイナンバーカードも日本名だけが載ったものに変更することはできます。
次に日本のパスポートです。日本のパスポートは生来の日本人のものと何ら変わりのないものですので、そこには帰化した云々という情報は載りません。
というわけで、「新日本人」という文言はどこにも記載されないということになります。私も見たことがありません。
では、この噂は全くデマなのかというと、どうもそうではない様です。
私がどこで目にしたのか聞いたか忘れてしまったのですが、昔は運転免許証に「新日本人」という文言がどうも記載されていたようなんですね。確たる証拠は私は持っていないのであくまで伝聞情報ですけれどもね。
免許証が帰化したことによる再交付ができるようになったのが数年前ですので、過去には「新日本人」と書かれた免許証を帰化してから次の更新時まで持たねばならなかったということですね。
それが「新日本人」という言葉を今に至るまで広めた原因なのかもしれません。