こんにちは、行政書士の川本です。
今回は「在日韓国人の帰化申請の条件」について詳しく解説します。
帰化申請の条件はインターネット上でもさまざまに言われていますが、実際には 法律上の要件 と、在日韓国人の方に適用される 運用上の緩和条件 の両方を正しく理解することが大切です。
私はこれまで多くの在日韓国人の方からご相談をいただいてきました。その経験から、実務的に特に注意すべき点を整理してお伝えします。
この記事を読めば、在日韓国人の帰化申請に必要な条件を体系的に理解できるはずです。
帰化申請の条件は大きく分けて以下の6つに整理できます。
それぞれを在日韓国人の方のケースに当てはめて解説していきます。
帰化申請の住所要件とは「日本に一定期間住んでいること」を意味します。
一般の外国人は原則5年以上の継続居住が必要ですが、在日韓国人の方はほとんどが日本で生まれ育っているため、大きな問題にはなりません。
在日の方は、たとえ留学や海外赴任で一時的に国外に出ていた場合でも、帰国後すぐに帰化申請できる可能性があります。これは大きなメリットといえるでしょう。
帰化申請で求められる収入要件は「借金に頼らず生計が維持できていること」です。
生計は 同居家族単位 で見られるため、申請者本人が無収入でも、配偶者や家族に安定収入があれば問題ありません。
収入は給与収入・事業収入・役員報酬・年金・配当など形態を問いませんが、必ず 書面で証明できること が必要です。
特に以下のケースでは注意が必要です。
会社の収益と個人の収入は別物と見られるため、個人として家計を賄えているかどうか がチェックされます。
納税要件は「税額の多さ」ではなく「適正に申告し、期限内に納付しているか」が重要です。
過去に多額の納税実績があっても、直近で滞納や未納があれば不許可のリスクがあります。
一方で、上記にない自動車税などの税目は実質的には対象外となります。
専業主婦や学生など収入がない方は税額ゼロでも問題ありません。その場合は 収入と税額が確認できる所得課税証明書 を提出します。収入がない場合の所得課税証明書を取得するのに一手間かかる市区町村もあります。
素行要件とは「法律を守り、社会生活をきちんと営んでいるか」ということです。
社会保険とは健康保険・年金・介護保険を指します。
会社員や扶養の専業主婦・学生などは自動的にクリアしていることが多いですが、 個人事業主や会社経営者は要注意 です。
未加入や未納があると不許可になる可能性が高いです。
国民年金が未加入であった方が直近1年だけ納付して許可になるかどうかは微妙です。年金は時効が2年ですので、2年は遡って支払えます。それを支払ったからと言って安泰とは言えません。近年は非常にシビアに見られる傾向があります。
在日韓国人の方は、日本語能力のテストを課されることはありません。
朝鮮学校出身者も同様で、日本で生活してきた事実そのものが日本語要件を満たす証拠になります。
在日韓国人の帰化申請条件をまとめると次の通りです。
在日韓国人の方は法律上・運用上の緩和条件があり、一般外国人より有利な面もあります。
一方で、 実務的には収入・納税・社会保険・素行の確認が非常にシビアに行われる のが現実です。
「自分の場合は大丈夫だろうか?」と不安に感じる方は、専門家への相談をおすすめします。